本日はオンライン授業でした。科目は、調理、食品、栄養、安全衛生などがあるのですが、普段行っている調理法についてもなぜそういうやり方をしているのか、ということが分かってきます。
●塩辛
安全衛生では食中毒を起こさないことが求められます。食中毒の原因は微生物。微生物は水分、温度、栄養で繁殖します。水は結合水と自由水(他の分子と結合していない水)とに二分され、微生物は自由水により繁殖します。従って、食中毒を起こさない保存方法として、食品中の水分を下げる(乾燥)ほかに、自由水の割合を下げることが有効。このため、食品に塩を足して、結合水にして自由水を増やすと繁殖しにくくなります。ということで塩辛や塩漬けで保存することとなります。
●数の子の戻し方
調理方法の一つに浸漬(しんせき)があります。浸漬という字も調理学ならではですが、要は液体にひたす、つける、もどすという普段やっていることです。浸漬の目的には、成分の抽出があり、塩蔵(これも調理学の専門用語)した食品の塩を除くために真水に浸漬します。しかし、塩化ナトリウムの溶出は、他の物質(渋みのもととなる塩化マグネシウムなど)より早いという特徴があります。このため塩分だけ抜けて、渋みが残ることがあります。ということで、数の子を戻す時には、1パーセントぐらいの塩水で浸漬し、塩分の溶出の速度を抑え、他の物質も溶出するようにします(これを迎え塩と呼ぶ)。この前、数の子の塩抜きを、箱の説明書に従って、塩水を使って3日ぐらいかけたのですが、その仕組みが分かってすっきりしました。
他にも、お米を炊くときに10分以上水に浸漬しておくのは、米の中に水分を入れることで熱伝導がよくなり、芯まで外と同じように炊けるから、とか教えてもらいました。
知っている人は知っているのでしょうが、調理の理屈を学ぶことも面白いものです。